ほんとーく

2014年10月01日

ほんとーく 池城かおり(第2回)

 

 

 

 

 もちろん、小学校の学校図書館も好きでした。とはいえ休み時間は鬼ごっこやカード引き、ゴム飛びなど目いっぱい遊んだ記憶と並列しているので、いつ通っていたのか、今思うと不思議です。その頃には好きなジャンルがはっきりしていて、読んでいたのはもっぱら自然科学です。とくに「あかね書房」の「科学のアルバム」シリーズにハマりました。生き物や天文など幅広いテーマを数十巻にわたって扱っていて、子どものコレクター欲を刺激するラインナップ。写真が多用され、易しい文章で読みやすく適度なページ数でしたので、飽きや挫折もなく全部読みました。ウチでは買ってもらえなかった学研の「科学」を学校図書館が購読していたのは最高に嬉しかったです。毎月、全学年に目を通していました(このあたりで培った知識や好奇心は、のちに20代で働くことになる科学館で、来館者(とくに小学生)とのコミュニケーションに多いに役立ちました)。高学年になると物語系にも手を伸ばすようになりました。ルパン、ぽっぺん先生、ルドルフ・・・懐かしく思い出します。でもタイムマシンがあれば、もうちょっとカワイイ本も読んでみてね、と伝えたいです。

 

 しかし、中学に入学すると状況が変わってきます。期待いっぱいに入ってみた学校図書館に並ぶ本はずっと大人びて見えて、突き放されたようなショックを覚えました。星新一さんの文庫本だけが心の拠り所で、ほかは一切読むことができなくなっていました。そうこうするうちに嵐の中2に突入。親にも先生にも反発ばかりで、読書なんてかっこわるい、トショカンなんて行かない(○`ε´○)、という機嫌の悪い子でした。恐ろしくもったいないことをしたものです。あの頃にしか出会えなかった本があったはずなのに・・・。さて、中3のある日のことです。何気なく買い求めた海外作家の小説が気に入り、ほかの作品も読みたくて当時の沖縄県立図書館宮古分館にでかけました。海外作家の作品が分類された二階は人気がなく、しんと鎮まった書棚へ冒険するような気持ちで奥へ進みました。棚には、その作家の作品がずらりと並んでいました。人気作家だったのでしょう。でも私は自分のために用意してもらったような嬉しさでいっぱいでした。

 

(旧沖縄県立図書館宮古分館 現在は宮古島市立図書館北分館)

 

 

 それまでの嵐はウソのようにケロリとして、素直にトショカン通いが再び始まりました。書店の一般書コーナーも気負いなくのぞくようになりました。相変わらず科学は好きで、ますます憧れが強くなっていました。ただ、「好き」と「理解」は別で、10代の私にとってはポピュラーサイエンス本もまだまだ難解で敷居の高い存在ではありましたが、本を手に持つことや文字を追うだけで充分楽しい気持ちでした。

 

 当時はネットもなく、島の子どもにとっては、本にまつわる情報は書店か図書館で得られる限りとなります。私は書棚にある世界の中だけに自分の好奇心を向けていましたし、それ以外の世界のことを全く想像していませんでした。大学進学のために上京し、生活の場が変わったことが、トショカンと自分、生まれ育った地域について考える大きなきっかけになりました。

 

(ありんこ文庫の書棚<小学生用>)

 

 

 

池城かおり

1979年。宮古島市平良生まれ。

宮古高校、東京農業大学応用生物科学部卒。

日本科学未来館に勤務後、2008年に帰郷。

現在は絵本図書室ありんこ文庫代表、NPO美ぎ島アーカイブ代表を務める。

宮古島市立図書館協議会委員、沖縄県立図書館協議会委員。

http://ikeshirokaori.tumblr.com/

————————————————–

 

 

NEWS お知らせ
2017年09月26日
9月27日深夜から28日深夜の間、本サイトはメンテのため閉鎖いたします。ご了承よろしくお願いします。
2017年09月12日
宮城ヨシ子さん写真展『Frame out』 2017年10月14日(土)~22日(日) 会場:tomari