ほんとーく

2015年09月18日

ガラガラ石畳 vol.7

garakanban

 

 

 

あめのショポンショポンふるぱんに
カラスのまとからのそいてる
まてつのきぽたんのぱかやろう

 

これだけ読むと違和感のある歌詞だ。
「満鉄小唄」、またの名を「雨ショポの唄」は満州国で働く朝鮮人娼婦が歌っていた曲だそうだ。
朝鮮の女性たちが訛って歌ったために、ヘンテコな日本語の歌詞になったとか。
訛っていない歌詞はこちら。

 

雨のショポンショポン降る晩に
硝子の窓から覗いてる
満鉄の金ボタンの馬鹿野郎

 

この「雨ショポの唄」は、最近ハマった『島唄を歩く』の著者、小浜司さんから教えていただいた。
「十九の春」が福岡の炭坑で歌われていたころ、同じく炭坑で働く朝鮮人たちが歌っていたのだという。
桜坂の喫茶カラーズでのこと。
小浜さんは大きな体を小さく丸め、誰かに聞かれると恥ずかしいとでも言うように口に手を当て、小さな声で「雨がショポンショポン。。。」と歌い始めた。
そのショポンショポンという可愛いらしい響きと物悲しいメロディが頭に残った。
大工哲弘さんも「満鉄小唄」として歌っている。
聞けば聞くほど染みる歌だと思った。
もとは1932年に発売された「討匪行」という軍歌だったそうだ。満鉄州鉄道の職員が歌っていたのを聞いたのだろうか。

 

先日、またまた桜坂の喫茶カラーズではじめてALKDOという2人組のライブを観た。愛知の三河を拠点に活動するTURTLE ISLANDという大楽隊の最小編成グループなのだそうだ。大地を感じさせる歌声と力強い太鼓の音が私の魂を静かに震わせた。そう、彼らのライブにとても感動してしまった。
会場にはマルチーズロックの追っかけである父もいて、お互いなんとなーく距離を置きながらライブを楽しんだ。
ライブの後半には共演者のマルチーズロックも加わり、「アリラン」が演奏された。
はしゃぎ疲れて眠ってしまった子供を腕に抱き「アリラン」を聴いた、というか身を任せた。あの時の気持ちをどう表現したらいいだろう。
「アリラン」という曲には歴史や民衆の感情が凝縮されて詰まっている。
人間の根底に流れる衝動。
どうしようもなく苦しくて悲しいもの。そういうものをみんなが持っている。
「アリラン」はそれを解放してくれる。
それでも生きるんだ。歌えよ、踊れよ、と。

 

同じ空間に父がいて、私たちは一緒に「アリラン」を聴いた。
父が幼い私に見せてくれた韓国の風景。
多分、父が私に教えたかったことは「アリラン」に詰まっていると思うのだ。
だから、私はこの喫茶カラーズでの光景を一生忘れないだろうな。

 

 

そんな「アリラン」のことを考えていると、前に母が私に放った(?)一言を思い出した。
「歌は民衆の歴史だ。歴史書はときの権力者がいくらでも書き換えられるけども、歌にはその時の民衆の想いや苦しみがあるんだ」
このとき、母と民謡の話をしていた。「瓦屋節」について。これは、また別の機会に。
とにかく、母は何気ない会話の中でこういう言葉をぽんっと出してくる。
母の言葉で気づくことの多さよ。
そんな、父と母と私のウタノハナシ。オワリ。

 

 

 

 

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宮里綾羽
沖縄県那覇市生まれ。
2014年4月から宮里小書店の副店長となり、栄町市場に座る。
市場でたくましく生きる人たちにもまれながら、日々市場の住人として成長中。
ちなみに、宮里小書店の店員は店長と副店長。

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