懸命に農に生きる人々の〈無告の叫び〉を掘り起こす、珠玉の短編集。

 

「沖縄の風土とそこに暮らす人々の想いが自然体で描かれている……作者の胸の中にある沖縄の思い出を、今後も書き続けていただきたい」

 

平岩弓枝(直木賞作家)

 

 

 

八重山の牧場を営む夫婦の心のゆらぎと再生を描いた「とぅばらーま哀歌」は、第五十三回農民文学賞を受賞。「バッパーの反逆」第五十九回農民文学賞受賞佳作、「洞窟の湧水」第六十回地上文学賞佳作。

 

 

 

 

●目次

とぅばらーま哀歌        

バッパーの反逆         

洞窟の湧き水          

ミバエ            

   創作ノート「こころの風景」      

   解説 〈無告の叫び〉を掬い取る  平敷武蕉 


創作ノートより  

「とぅばらーま哀歌」
 四十年前、石垣市役所の玄関前の特設舞台で行なわれた「とぅばらーま大会」を初めて見ました。静寂な月夜の、出演者の歌う素朴な情愛、胸に迫る旋律に圧倒されてしまいました。その時の感動は今でも忘れることが出来ません。
 当時私は公務員成り立ての頃で、那覇と石垣を幾度となく往き来していました。原野を切り開いて牧草地に造成し、石垣を和牛の一大生産地に、との思いで仕事をしていました。次々に牧場が整備され頭数が増えてくると、和牛産地としての石垣の認知度は徐々に広まり活気が出てきました。
 しかしバブルの時代、農業のグローバル化が進み、自由化の波が押し寄せてくると、牧場を手放す農家が次々と現れ、「孤城落日」のことば通り、石垣の畜産は壊滅的な状況に陥ってしまったのです。
 石垣市にS牧場がありました。オーナーは根っからの牛好きで親の代からの和牛農家でした。寡黙で、話題は牛作りのことばかり。しかし、多額の借金を背負い、牛の餌代も儘ならずに廃業してしまいました。
 彼は「とぅばらーま」の名手でもありました。
 小説の舞台は八重山のとある牧場です。周囲の雑念に押し流されることなく、歯を食いしばって立ち向かう牧場夫婦の心の揺れを、そしてその切ない心情を「とぅばらーま」の調べに乗せて作品を書き上げました。


●著者プロフィール
国梓としひで(クニシ トシヒデ)

1949年大阪市生まれ。
沖縄県沖縄市(旧コザ市)出身
1973年琉球大学農学部卒業
1974年から総理府沖縄開発庁、農林水産省、農用地整備公団、内閣府沖縄総合事務局に勤務。
2009年退職。現在会社役員。
2007年第33回新沖縄文学賞受賞。作品名「爆音、轟く」(沖縄タイムス社主宰)
2010年第53回農民文学賞受賞。作品名「とぅばらーま哀歌」
南涛文学会同人
本名 國吉俊秀

●2013年8月30日発行
242_1

とぅばらーま哀歌
国梓としひで
四六判ハードカバー  174頁
1,300円+税

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投稿日
2013年9月9日
カテゴリ
文芸
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